2018/03/07
水産合羽を選ぶポイント
水産合羽に必要なのは、レジャー用や通勤用の合羽のような短時間の防水性能や耐久性ではありません。
厳しい環境での重労働に耐えられる性能と、動きやすさを生み出す柔軟な素材や生地でできていることが必要です。
そこで、あなたの仕事に合った水産合羽を選ぶときには、次のポイントを知った上で選んでもらいたいと思います。
防水性
雨だけではありません。波しぶきもかぶります。
船釣りではありませんから、季節が暖かくても我慢することはできません。
だいたい日本が暖かい季節でも、漁をする場所が同じ気候ではないですからね。
防水性は合羽にとって大変重要な性能です。
この防水性を表すときに「耐水圧」というものがあります。
耐水圧とは、生地に染み込もうとする「水の力」を抑える、生地が持つ性能を数値で表したもの。
例えば、生地の上に1cm四方の柱を立てたとします。
その柱の中に水を入れていき、生地が水の高さ50cmまでの力に耐えられたとすると「耐水圧 500mm」という表記になります。
この数値が大きいほど、水の力に耐えられるということですから、高ければ高いほど防水性も高いというわけです。
そこで一般的に言われている耐水圧の目安を見ておきましょう。
耐水圧:300mm ・・・ 小雨には耐えられるくらいです。子供向けのポンチョくらいですね。
耐水圧:2,000mm ・・・ 中くらいの雨には耐えられます。一般的な傘で耐えられるくらいですね。
耐水圧10,000mm ・・・ 大雨と言われる状態です。
耐水圧20,000mm ・・・ 嵐の状態です。
(出典:ブリジストン)
いかがでしょう。実際に船の上で必要になる耐水圧は、どれくらいでしょうか。
そして、もう一つ知っておいてもらいたいことがあります。
それは防水性に関係する耐水圧は、人の体重や姿勢によって変化するということです。
例えば、よく使われる例ですが、体重が75kgの男性の場合、何かに腰掛けたとき接地しているポイントには、約2,000mmの耐水圧が掛かっていると言われています。
そして、船の中でよくある姿勢「膝をつく」場合、膝が床に接地しているポイントには、約11,000mmの耐水圧が掛かっているのです。
普通の雨の中、膝をつくだけで、これだけの耐水圧が掛かっているのですから、船の中で仕事をするときを考えてみると、かなりの防水性が必要だということがわかっていただけると思います。
しっかりとした防水性を持った合羽を選ぶことが第一のポイントです。
耐久性
次に必要なのが耐久性です。
何と言っても激しい状況で使いますから、あっちに擦れたり、こっちでぶつかったりということが起こります。
そんな場合でも簡単に壊れていては仕事になりません。
また、気をつけて着ているにも関わらず、合わせ面などが剥がれきては、仕事に集中することもできないでしょう。
そこで、耐久性を担保するためには「日本製」を選んでもらいたいですね。
沖へ出ると、ちょっとしたトラブルでも、簡単素早く直すことができません。代わりの合羽を「ちょっと買ってくる」というわけにはいきません。
ですから、耐久性を保証するためにも「日本製」を選ぶことがポイントになります。
快適性
蒸れに関係することですが、できるだけ肌に心地いいものを選びたいですね。
ただ、防水性と防湿性は、なかなかバランスしづらい部分。
そういう場合は、防水性を重視して、防湿性をカバーするために「通気性」で調整する方法もあります。
合羽の裏側がどうなっているのか。
試着してみたときの通気性はどうか。
こういったところを気にして選んでもらうと、少しでも快適に安全に仕事をしてもらえると思います。
後は、軽さも快適性に関係します。
重すぎるものは、少しずつ疲れが溜まりやすくなりますからね。
軽快にテキパキ動けるかどうか。
こういった部分も試着するなどして、自分に合っているかどうかを確認するようにしてください。
パンツ
パンツはどれも同じように見えますが、注意しておきたい部分があります。
まずは「サイズ感」ですね。
合羽の上はぴったりだけど、下は大きすぎるとか、逆に小さいという場合があります。
こういった場合、アメリカ屋では上下別々のサイズで購入いただくことも可能です。
次に「裾の長さ」です。
引きずったままのパンツは危険です。
そもそも引きずったままだと合羽が痛みます。
裾からボロボロになってきます。
そして、足元にある糸や網に引っかかり、転倒することにもつながります。
船の中でのケガはイヤですよね。
ですから、アメリカ屋では「裾のお直し」を行うことで、あなたにぴったりの丈でお渡ししています。
最後に、最近登場した前開きでジッパーがついているパンツ。
確かにトイレに便利ですが、ジッパーが網に引っかかりかけて危なかったというお話を聞くことがありました。
この辺は、どういった業種なのかによりますが、些細なことで事故になることもあります。
気をつけて選んでもらいたいと思います。
まとめ
他にも袖口が2重構造になっているものや、立体裁断や曲線加工によって座りやすく、動きやすくなっているものもあります。
合羽を選ぶときには、今回紹介しましたポイントを、まずはチェックして自分の業種に合っているのか確認してください。
もし確認するとき、イマイチわからないという場合は、いつでもお気軽にご相談ください。
アメリカ屋の知識と経験から、あなたに合った合羽選びをお手伝いさせていただきます。
合羽はあなたが安全に、そして健康に仕事をする上での相棒です。
しっかりと納得のいく合羽を選んでください。